神保町花月「コーポきよはる804」

脚本:久馬 歩
演出:堀江 B面
出演:グランジ/犬の心/椿鬼奴スリムクラブ
あらすじ(公式HP)
コーポきよはる804号室で何かが起こる!

見終えた瞬間にもう、「あー久々に久馬さんの脚本見たー」って満足感。良くも悪くも久馬さんだったな。前半から中盤までに伏線張りまくって、途中に大喜利的ゲームコーナーを入れて、最後の最後の張りまくった伏線をがっさーって回収しておしまい。暗転後に時間を戻して、こぼれた伏線を回収みたいな。結構好きな本でした。ゲームコーナー以外は。個人的に芝居中に素が見え隠れするのあまり好きじゃないんでね。VTRにはプラン9全員集合で豪華。そして個人的に1回目よりも2回目見た時の方が楽しめたな。


主役は遠山さんで。個人的に本当に遠山さんの演技が大好きでしてね。OPの一人芝居の時は、若干芝居が大きすぎて神保町サイズじゃなくて重たいなぁなんて思ってしまったけれど*1、人が増えた瞬間にその大きさが心地よかったり。最初に押見さん扮する男に「そのマンションの住人」と勝手に勘違いされた時の、にやりと笑う悪い表情がたまらなく好きで。本当いい表情するんですよね。人生ゲームはなかったことにして(笑)あ、土曜日の1本目の時に押見さんが放棄したエジプシャンジョークに、自ら死にに行った(笑)のは座長しての責任感でしょうか?あとはゲイキャラで浮気を疑う時は、ゲイ飛び越してキャサリンになってしまうのがイッライラするほどで素敵っすね。何気にかわいらしく見えたのはこっちの目の病気でしょうね(笑)ギター弾いている姿は新鮮で素敵でしたけど、一番うわって格好よく見えたのは刑事の一瞬のすきをついて飛び出し逃げる瞬間の身のこなしが軽やかでなんとも。
五明さんは千秋楽での人生ゲームが神懸ってて最高でした。もう何やっても面白かった。特別公演でおっしゃってたけれども、大さんが「僕もゲイなんです」って言った瞬間の五明さんの言い方が何ともいえずよかった。五明さんの演じたベテラン刑事って、とぼけているのに抜け目がなくて実はすごい敏腕な刑事でしたよね。2回目見た時は、押見さん演じる男が適当にごまかすために適当な名前を名乗った瞬間の目つきにくぎ付けでした。本当にごくごく自然に反応して、その後ずっと彼の応対に注目しているんですよね。本当に細かいなぁ。本当に犯人からしたらしつこくて、いやな刑事なんだろうなぁって。すごくこっちまで一緒になって追い詰められた気分になったのは気のせいではないです。しかしここ3回見た五明さんは全部、実年齢よりも上の役柄なんでそろそろ次回は実年齢もしくはまったく違う感じの役柄でみたいなぁ。
大さんは本当にまたまたずるい役割で。これも特別公演でおっしゃってたけれども、同じことができない上に3人格を作り出して臨んだとか。個人的には公演中に生まれたというマザコンキャラが好きだったなぁ。マザコンっていうよりは幼少期に母に虐待されたトラウマ抱えた人みたいになってたけれど。ディランスイッチ、ゲイスイッチどちらもオン状態は素晴らしく恐ろしかった。ぐいぐい来るゲイキャラは特に秀逸。すっごい前向きに明るいゲイなキャラなのに見ていられるのは何ででしょうね。ラストのほうで、奴姉と二人で狂ったようにボブディランを唄う姿が印象的。そんなカオスな雰囲気の中で、終盤に掛けて物語がガラッと変わるきっかけが起こったのが本当効果的だったなぁ。1回目見たときは、死体の転がり方がリアルで本気でビクってするほど。登場時は今までにない大さんが見られるのかなぁなんて期待したけれども、終わってみたら大さんらしいふり幅のでかい演技でそれはそれで楽しい。
押見さんは出ずっぱりな割には主役然としているわけではなく、いい意味で脇に徹していたなぁと。逃げたいのに逃げられず、嘘に嘘を重ねていく焦燥感が満載の表情がすごくいいなぁと。鬼奴姉が出てきてからの、勘違いに勘違いを重ねたまま突っ走るのがとても好きだったなぁ。地味に人生ゲームでの、イスを使ったダジャレの「椅子でいいっす」「そーふぁー」のふわっふわした感じは好きです。
池谷さんは完全ピンポイント。もったいないなあとは思ったけれども、これ以上出番あったら絶対主役食っちゃうもんね。それくらいのきらきらさ。だってたけしさんのものまねしているのに、王子様みたいにきらっきらしてたもの。終わってみたら出番少ないのも納得の存在感。「わがままボーイ」の言い方が最高。
奴姉は本当によかった。ストーカーはまり役(誉めてますよ、ほめてます)「頭の中がかゆいぃぃぃ」言い方とかがギリギリアウトなんですもの。特に一番最初に名前を確認された時に、「そうです」とすごくうれしそうにストーカー相手の苗字を名乗る時にほほ笑むのが、2回目見た時はストーカーって知っている分ものすごく恐怖にかんじたし。CR海物語の一人芝居は、見ているだけで勝てる気がしてくるくらい。なにより千秋楽一番大きな拍手もらっていたのは奴姉でしょう。まさか最後に時間内に死体をクロゼットにしまってカギまで閉められるなんて!あのときの奴姉さんのガッツポーズと会場の一体感たらなかったです。
スリムクラブは内間さんは本当ずるい。個人的には土曜日に見たロシア人で、脇毛をぜんぶ食べられたキャラクターが好きでした。彼は本当に、ロシア人にも見れるし、ゲイにもちゃんと見れる。真栄田さんはうまいなぁ。凶悪犯の顔が見えた瞬間の表情の豹変具合がたまらなく素晴らしかった。あとすごいなぁとおもうのは、芝居中にスリムクラブとしてのキャラクターを入れても瞬時に役に戻れるし違和感がないのがすごいなぁ。


これはファンダンゴで放送があるならばとても見たい。そして久々に久馬さんの書いたプランのがっつり本公演もみたいなぁと思ったり。特別公演は他言無用なので感想なし。終始ゆるゆるした時間で、それはそれでよかったです。最後の最後が学芸会&病院施設の慰問のようなのもここまで来たら面白かったり。

*1:本当申し訳ない。