欲望という名の電車

出演:
篠井英介/北村有起哉/小島 聖/伊達 暁
明星真由美/菅原永二/押田健史/Takuya
永島 克/鈴木慶一


作:テネシー・ウィリアムズ
翻訳:小田島恒志
演出:鈴木勝秀
あらすじ(HPより)
アルコール中毒で元教師のブランチは、妹のステラが暮らしている街ニューオリンズのフレンチクォーターへ、「欲望」という電車に乗り「墓地」という電車に乗り換え、「極楽」で降りてたどり着いた。

二人は南部の大農園ベル・リーブで育った、古き良き時代の上流階級の出である。上品に振舞うブランチの態度に、ステラの夫でポーランド系のスタンリーは我慢できず、事あるごとにステラとブランチにあたりちらす。

スタンリーの友人ミッチは、清楚なブランチに惹かれてゆき、ブランチはミッチの愛に、最後の望みをかけるのだったが・・・・・。

だいぶ間が空いてしまったのでさくっと感想を。
アトリエダンカンの先行で取ったチケットはとてつもなく素敵な席でした。会場行くまで気付かなかった。なので開演早々に自分の真後ろにスタンリーとミッチがいてドキドキ。
ブランチを男性が演じているのが本当になんの疑問も抱かない、篠井さんのブランチ。翻訳劇にあまりなれていない私には、なかなか物語に入って行くのがこんなんでしたけれども、最後の最後一度は「私が待っているはこの方ではない」といったのにふと全てを吹っ切ったかのような表情で医者の腕に手を置いたブランチを見たら涙が止まらなかったです。暗転しても、自分の気持ちがわからず。一線を越えてしまったようなブランチの表情が悲しいというか、切ないというかなんともいえない感情が襲ってきて。
スタンリーはただ粗暴でダメな男かと思いきや、ブランチに冷たく当たるのは自分というよりも、ステラとこれから生まれてくる我が子に確実にブランチが悪となると確信できたからそれから身を挺して守ろうとした。ただ、そのやり方が少し乱暴なだけだったなぁと。ステラもブランチも大事な姉として大好きだけれども、今の自分の生活も大事だしと。どちらも大きな愛情でなんとか守りたいと必死なところがとても良かった。スタンのような旦那さんに、殴られたりしながらも、そのあとに泣きながら抱きしめられたらそりゃスタンリーからは離れられないなぁと少し思ってしまったり。
ミッチは最初、あの街のあの仲間の中で彼のような物腰の男がいることにとても違和感を感じてしまって。なぜ彼があんなにまでブランチに心引かれていったのか、ちょっとわからなかった自分の理解力のなさが悔しいです。紳士な伊達さんはいつもとちょっと違って見えて新鮮だった。
北村さんと伊達さん目当てで行ったけれども、お話自体をとても好きになりました。篠井さんはこれで篠井ブランチは封印とおっしゃっているけれども、個人的にあと数年たって、自分が結婚したらまた見方が変わってくると思うのでまた演じて欲しいなぁなんて思います。
菅原さんと明星さんの夫婦は、スタンリーとステラ夫婦とは対照的で印象に残りますね。絶対に女には手を出さない、喧嘩が始まると基本安全確認に全力を尽くすところが素晴らしい。そして最初の明星さんの鼻歌が絶品でした。