神保町花月「URAKEN」

脚本:江藤美明
演出:高梨 由
出演:
グランジ/ラフ・コントロール/来八/長崎亭キヨちゃんぽん
猫デココ/本当の赤ちゃん/由梨
あらすじ(公式より)
「表のルールなんてクソ喰らえ!裏で勝負しようぜ!」
挫折した不良と友情を取り戻す不良の青春アクション劇をご覧あれ!

勢いで昼夜見てしまった・・・。
追記:一番大事なこと書くの忘れてた。愛情たっぷり、悪く言えばラブレターみたいな感想になってます。お見苦しい感じです。すみません。)
あらすじについては、楽屋裏ブログで詳細に書いてくださっているので割愛します。とにかく好みな話でしたよ。


恥ずかしながらOPの、五明さんと由梨さんの並び・五明さんと遠山さんが背中合わせに立っているシルエット。これだけ何百回でも見れる!って思っちゃったくらいこの演出がドストライクで好きだったんですよ。だから本当しんどかったんだけど、1回しか見なかったら絶対後悔する!って思って夜公演も続けて見ちゃった「URAKEN」。もう数え切れないほど神保町花月には通ってますけど、当日券買って〜っていうのは初めてなんでよっぽど私この芝居好きだったみたいです。
話も好みだし主演のグランジ、脇のラフコン、来八の小林さんと好きな方も多かったですが・・・正直「かったるい・・・」ってなるシーンも少なくなかったのも事実ですがそれを上回っちゃったよね(笑)


とにかく遠山さんなんです。今後どんなにグランジがおもんなくなっても(笑)、神保町がある限り遠山さんは嫌いにならないわってほど彼の演技が大好きなんですよ。見れば見るほど好みの芝居をするんですよ。今回も違わず。剣道を再開する前の「ザ・虐められっ子」な感じもぴったりだし。そんな姿から剣道を再開し、たくましくなったところで事件に巻き込まれ「URAKEN」というルール無用の世界に足を踏み込んでからの表情も。高校1年生という幼さと、でもちょっと大人ぶりたい感じとかがとても上手で。土方になぜ反則技を使わないんだと問われて「自分は剣道のルールだけで戦うんだ」と言うときは強い意思とは裏腹の幼さの残る口調だったりするのに、いざ勝負となったときの殺気立った表情と重厚な殺陣にメロメロにやられました。とどめを刺す一歩前の表情が本当絶妙に良くて、ぞわって鳥肌がつ立つような。特に来八小林さん演じる沖田との勝負は小林さんの殺陣が軽やかな分、佐々木の殺陣が重々しくかつ力強くて、それでいてスピーディーで見応えがありましたしね。あとはやっぱり五明さん演じる宮本との戦いも見応え十分でしたよね。でっかい二人がテクニックとパワーでぶつかり合う。かなりすれすれな殺陣で迫力が尋常じゃなかったです。最初角度ある席から見ていたんで、「当たる!!」ってヒヤッとするくらいすれすれ。最後の「URAKEN」をやっている理由を搾り出すように話す姿は、さっきまであんなに華麗に戦っていたのにあんなに小さく、か弱く見えるものかと驚きました。本当良い。べた褒めですよ、はい。
あ、土曜の夜公演で初の殺陣のミスがあったそうで。確かに本番中、キヨちゃんの面が「こつん」って遠山さんの額に入ったときは笑えて仕方なかったですよ。試合を見守る状況のラフコンの二人も笑いこらえられてないし(笑)しかし殺陣にミスが少なかったらしいので貴重なもの見たなと思うことにします。


五明さんもやっぱり上手で安心。特に佐々木に「もう一度剣道やらないか」と誘うシーンが2度あるのですが、どちらも凄く良くて。前半に、やんちゃなまま半ば無理やりに「なー、やろうぜ」っていうところも良かったですし、やっぱり後半本当に心のそこから「一緒に剣道やってて、楽しかったじゃん。最初剣道誘ってくれたとき嬉しかったんだ。だからもう一度一緒に剣道やろうよ」ていうのが、ぐんぐん涙腺を刺激するんですよ。見応えあるシーンだったな。なにより殺陣の迫力が凄まじいのですもの。佐々木との試合は、友情が見え隠れしてでも本気で佐々木を連れ戻したいと思っているからこその真剣さが現れてて本当ただただ格好良かったです。五明さんは仕草も格好良くて、素敵なのが多かったなと思います。「URAKEN」にきて土方に掛け金を投げ捨てるように出すところとか、骨折の痛みに耐え切れずに気を失う様とか。土曜の昼公演では、終盤沖田たちに逆襲されたときに髪を括っていたのが解けてその状態で戦っていたので迫力3割増し。


大さんは今回は「真面目に演じる大さん」の方で。でも最初に思い浮かぶのは、久々に佐々木と再会した際の「腰の辺りでちっちゃく手を振る仕草」だったりしますけど(笑)回を増すごとにゲイっぽさが助長したみたいですね。佐々木のこともベッタベタ触ってたし。そんななのにオープニング後の明転での第一声でぴりっと舞台を締めてみたり。特に土方とのシーンはどれも良かったな。「お前の人生、背負ってやるよ。」の台詞が本当に穏やかで、暖かくて、過去を後悔する気持ちも含んでてなんとも言えないとても良い台詞だったなぁと。ここ大さんのシーンで一番好きです。大さんの殺陣も見たかったな。絶対迫力満点だと思うのに。


ラフコンの重岡さんの真面目な芝居もちょけているところも好きな私にとって、今回の『土方』という役は願ったり叶ったりな配役でして。若干、いやかなりしつこいボケもありましたけど。「もっともっと」と最後編入してからのやりたい放題加減は・・・ね。森木さんですらどうにも出来ないんですから仕方ないです。そんな悪乗りを続けたかと思いきや、締める所はびしっと締めるから重さんの演技は見ててふり幅でかすぎて楽しいのですよ。今回も格好良いやら、切ないやらで。一番「土方、素敵!」ってなったのは、回し蹴りですよ。あのずんぐりずんぐりな重さんから繰り出される、何気ないくせに鋭すぎる蹴りは土方のキャラクターなのか重さん本人なのかわからないほどの瞬発力で。キレがありすぎて惚れ惚れしてしまいました。あとは近藤と再会した後、近藤に「いつでも連絡してこい」と言われながらもその場を去るときの表情と、やるせないようなでも喜びがにじんでいるような笑顔が忘れられないです。ああなんて繊細な芝居をするんでしょうね、重さんって。あ、重さんて言えば公演中に事故にあわれたそうで。なのにこの怪我のなさ!前も重さん事故ったけどほぼ無傷じゃなかったでしたっけ?でも腰や首に痛みがあるそうなのにあの回し蹴り。やっぱりこの人、凄いです。


来八の小林さんの演技も好きなんですが、なんと言っても今回は殺陣でしょう。ダンスやっているから一人だけ殺陣の性質が違う。そのメリハリが凄く良かったです。本当に華麗に舞うって表現のほうがぴったりな。ヘアメイクはもうちょっと抑えてくれたほうが現実的だったんだけど、薔薇とあの曲がよく似合う(笑)佐々木に一旦負けそうになった後、宮本と佐々木が話しているところを卑怯にも狙っていく時の感じも本当に嫌な奴って感じがリアルだったなー。綺麗な顔で、最低の男って役柄が良い意味で当たり役だったなと。


森木さんは今回はちょけ要員だったので、がっつり芝居が見れなかったのが残念でした。でもここ凄く良い!って思ったところがあって、剣子が宮本に残って練習していることを喋ってしまったことがわかったときの「あの女・・・」って怒ったような気恥ずかしいような言い方が凄く好きでした。ラリってる時の芝居はやりすぎだし、似合いすぎ(笑)あとはヤンキーなのに、佐々木と同等にやりあう感じがらしすぎて。遠山さんに不意をつかれて普通に驚いちゃうとか森木さんしか許されないですよ(笑)「俺、あいつのことほっとけないから」ってキメ台詞も、回を増すごとに客席のくすくすのタイミングが早くなっているし(笑)
あとキヨちゃんは本当上手になったなぁって。これまでの神保町では・・・と思うことが多々だったんですけど今回は良い。佐々木との殺陣も、弱いながらも上手でしたし。これからもっと上手くなっちゃいそうですね。由梨さんという女優さんは初めて見させていただいたんですが、好きな女優さんになりました。最初のおどおどした感じから一転、剣士の表情を見せるギャップが良かったです。若干「メガネとって、きりっとして、強い」って演出がベタだなとは思いましたけど(笑)高梨さんって結構好きな演出家さんなんですが、今回ちょっとやりすぎなところもありましたよね。見てて恥ずかしいってなるところがちょいちょい。土方が眼帯を取るところの効果音とか(笑)でもOPの演出は大好きなんですけどね。あと演出で良いなと思ったのが、戦いのシーンの曲が対戦相手によって変わっていくところ。沖田戦は特にはまってて好きでしたね。猫デココさんとか、本当の赤ちゃんさんのシーンが長く感じちゃったのは、笑いのツボが違うってことで仕方ないかなと。好みですからね、いかんせん。あ、一番大変なの書き忘れてました。来八田中さん!土曜2回見て、全スベリってすごいっすよ。土曜夜に、最後のスポットでのギャグに意味があることをやっている本人が「今」気付いたんですから仕方ないですよね。


久々につらつら書き残したくなる作品に出会えて幸せです。