阿佐ヶ谷スパイダース「桜飛沫」


初めての2幕ものの芝居。
しかも阿佐スパなんだからきっと重たい芝居のはず。
そんなで3時間強の時間、集中力は持つのかしら?なんて
心配していたんですが、杞憂でした。
いつも通りそりゃ重たいですよ。
救いも少なく、でもその中に一筋の光があるような。
そして今回はポップでした。
私の中では、ポップでした。
最後の大量の桜吹雪で役者も何も全く見えない中
刀が重なり合うところだけ見えるあの空間。
画の圧倒的な強さに圧倒されました。頭にこの画が浮かんだ時
わくわくしただろうなー圭史さんとか思ったり。
一部の主役の橋本じゅんさん。
面白いのに格好良い、ずるいですよ。
水野さんはせっかくの時代劇、殺陣が見たかったなぁ。
伊達・猫背コンビはもうね、「ここいらねー」の連発。
でもこの二人のおかげで重たさの中にポップがあったというか。
伊達さんの声は本当にダメ剣士が似合うこと。
猫背さんの腐りかけの娼婦にもやられましたけれども。
圭史さんはもうねダメ。ダメ人間の集大成みたいな。
これが彼の容姿、声全てにびしっとはまるんだ。
なんだろう、役者としてずば抜けているわけではないだろうに
目が離せないと言うか。うん、ずるい。
しんぺーさんなんてちょー嫌な奴なのに、吐き気のするほど残忍なのに
なぜか憎めない。いや、相当憎いんだけど笑っちゃうの。
2部はがっちり山本さんでしめた。ぎゅっと。
峯村さんの「グズ」とのやり取りは残酷で救いの無い舞台上の
ひと時のやすらぎだし。
最後の「バイバイ」とそのあとの桜吹雪にはやられました。
2部でやっとこさ登場の山内さん。
今回もずるい役どころ。
あのお顔で、紫の艶やかな着物を羽織りでも男色家。それでもって残忍。
詰め込みすぎ。
自分の仇なのに、憧れてしまう。
いざ仇に出会えたと思ったら、憧れていた姿は跡形も無くて。
そんな左京の心の葛藤が、切なくてね。
山内さんの演じる男ってものすごい残忍なのに、すんなりと許せてしまう。
これは一体どういうことだ。
同じく最低な男だった中山さん。
いっつもドメスティックバイオレンス男な気もしますが。
暴力男でダメ男なのになんか愛しい。
そして滑舌悪くて、挙動不審にしか見えないのに目が離せない。
不思議な役者。
真木よう子ちゃんは人一倍時代劇してました。
凛とした美しさと桜の美しさの相乗効果がすごかった。


こんな拙い感想しか出てこないけれども、好きな芝居だったってこと。
うん、重たいのにポップっていうのが良かったなー。
どんどん会場大きくなって、チケットもどんどん高くなるけど
やめられないなぁ。