ナイロン100℃
NYLON100℃ 30th SESSION
『犬は鎖につなぐべからず 〜岸田國士一幕劇コレクション〜』
作：岸田國士
潤色・構成・演出：ケラリーノ・サンドロヴィッチ
和装監修：豆千代
振付：井手茂太
出演
松永玲子/みのすけ/村岡希美/長田奈麻/新谷真弓/安澤千草/廣川三憲
藤田秀世/植木夏十/大山鎬則/吉増裕士/杉山薫/眼鏡太郎/廻飛雄
柚木幹斗
岸田國士の７本の一幕劇「犬は鎖に繋ぐべからず」「隣の花」「驟雨」「屋上庭園」「ここに弟あり」「紙風船」「ぶらんこ」をKERA氏がコラージュした作品。
岸田國士というだけで、身構え果たして楽しめるだろうかなんて思っていたのが、終わってみたらかなり楽しんでいました。
ありふれた日常が所々で交差していく様を、淡々と見せている中にちょっとした出来事が起こって、の繰り返し。
席がものすごく良くて、舞台に集中できたおかげもあるかも。
特に「ここに弟あり」と「隣の花」がすきでした。
みのすけ＆緒川たまき夫婦は、これ以上なく淫靡な雰囲気がたまりませんでした。空想で熱海に行ったあたりとか。
いつもよりもだいぶ抑え目でも、時々はさまれるどたばた加減にくすりとさせられる松永さん。松永さんの着物姿がとても好きです。粋な気がする。やっぱり気持ち悪い中に*1これ以上ないエロティックさがあふれているみのすけさん。やっぱり私は彼の演技が好きみたいです。どうしても目で追ってしまう。声が好きでたまらない村岡さん。「ここに弟あり」の長田さんの、頭悪そうで素直な女の子が好きですね。みんなが着物の中、一人洋装の新谷さん。声とあいまってとても引き立ってました。わがままな女の子が似合う声だな。「ここに弟あり」で廣川さんが来たところから、ぐっと芝居が進んで乗ってきた気がしました。空気を変える人だ。おバカな子ができる役者がまた一人増えたと思わされる植木さん。あの長身であんなに三輪車を乗りこなす人、そういないです。
客演ではもう緒川たまきにべたぼれです。なんて立ち居姿が素敵なんでしょう。目の前で、小首傾げながら振り向かれた時には思わずため息が出ちゃいます。そして踊るときは結構はじけて踊られて。ああ、たまきさん見ただけでもこの芝居見た甲斐があったってものです。幼き頃（って言っても小学校？）が思い出された松野さん。ナイスエイジにも出てらしたんですね。まったく気付かず。今回はばっちりと。新婚で悩む若奥様がぴったりでした。松野さんの着物、しゃれてて可愛かったなぁ。萩原さんはもっと無骨な演技をする方と思ったら、柔軟な役者さんでした。だめな弟が良くお似合い。「ぶらんこ」での姿も好きでした。
植本さんは今までが「反則！」っていうような役柄でしか見たことなかったので「空中庭園」での、自分に自信がなくすべてのものを卑下しているような役柄がとても新鮮。
そしてなにより、衣装。豆千代さんのお着物だったんですけれどもどれもが可愛い。着付けさえできるならば、普段着として着たいなぁと思う今までの「着物」の概念を一転させてくれるものでした。着物見ているだけでも楽しかった。特に松野さんと松永さんの着物が可愛かったなぁ。
しかし今回のナイロン、犬山さん・峰村さん・大倉さん・三宅さん欠席でもこれだけ魅せるっていうのがこの劇団の凄いところかと。役者の層が厚すぎる。特に女優が豊富な上に、植木さんがものすごい勢いで素敵になっている気がする。ああ、ナイロンもこれから見逃せない劇団になったなぁ。
次回ナイロンは待望の新作。
NYLON100℃ 31st SESSION「新作(タイトル未定)」
作・演出：ケラリーノ・サンドロヴィッチ
キャスト：犬山イヌコ/みのすけ/峯村リエ/三宅弘城/大倉孝二/松永玲子長田奈麻/廣川三憲/喜安浩平/吉増裕士/皆戸麻衣
わー、岡田くんが舞台で見れるぞー！
*1:褒め言葉
