東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

原作:リリー・フランキー
脚本:蓬莱竜太(モダンスイマーズ)  演出:G2


出演
萩原聖人/加賀まりこ/石田ひかり
千葉雅子/三上市朗/八十田勇一
新谷真弓/津村知与支
林隆三


あの頃ボクらが見ていたものはどんな風景だったのだろう…。
それはまるで、ど真ん中に突き刺さっている。東京の中心に、ボクらの憧れの中心に。
この話は、かつてそれを目指したけど弾き飛ばされて故郷に戻っていったボクの父親と、
同じようにやってきて帰る場所を失ってしまったボクと、
そして、一度もそんな幻想を抱いたこともなかったのに東京に連れて来られて、
戻ることも、帰ることもできず、東京タワーの麓で眠りについた、ボクの母親のちいさな話です。(原作より・扶桑社刊)

ネタバレあります。
東京タワーが舞台になると聞いたときは興味を持ちませんでした。
出演者が発表され、千葉さん・艦長・八十田さんと聞いてちょっと興味を持ちましたがチケットを取るにいたらず。
e+やぴあから「半額だよー」といわれ、G2の座談会を読み「行くか」と。
実は「東京タワー」本も読んでいなければ、2時間ドラマも、連続ドラマも見ておらず、映画も見てない。でもうっすらこんな話くらいは知ってる程度で見たのが良かったのか悪かったのか・・・。
まだ1幕だっていうのに涙が止まらない。
2幕にいたっては後半、涙腺がバカになったかのように泣いてしまいました。
おかんのかわいらしさと、とてもここちよいぼくとの関係。そしておかんとぼくの友達の関係。おかんとおとんのびっくりするような過去。おとんの男らしすぎる行動。そして不器用すぎる愛情表現。ぼくが後悔しても悔やんでも悔やみきれない気持ち。ぶーぶーおばちゃんのやさしさ。どれもが私の心に直球で訴えかけてきて、たまらなかったです。そしてこれから先、自分も避けては通れない両親との別れの日にできるだけ後悔しないように生きていきたいと強く考えさせられました。
萩原さんはいい意味で格好良くなく、一番リリーさんぽく。モノローグから、いまのぼく、そして過去のぼく出ずっぱりで、単純にすごいなぁって。さっきまで辛かったり、幸せだったりしたとたん、語ったり。そのスイッチの入れ替えがとても上手く、自然で。下手したらそのたびに芝居が死んでしまいかねないのにそんなことなく。一番最初に見た「ぼく」が萩原さんでよかった。
おかんはひたすら可愛かった。加賀さんが「古きよきおかん』を演じるのってどうなんだろうと思ったけれど、ひたすらまーくんを愛し、おとんを愛した可愛い可愛いおかんでした。
千葉さんのぶーぶーおばちゃんは本当にずるい。テンポが良すぎるでしょう。女優・千葉雅子全開!!って感じで隅から隅まで楽しませていただきました。泣いて、目に涙たっぷりでも千葉さんで笑っちゃってぼろっと涙がこぼれるの連続。地味に、オカマバーのホステスやっている千葉さんは、本当のはまり役。場末のホステスやらせたら千葉さんの右に出る人は居ないと思います。
新谷さんはおばあちゃんやってぼくの少年時代やって、その後がぶどうって。ぶどうを人が演じる本当の必要性はわからないけれども、ともすればおかんだけに集中して目も当てられないほど泣いてしまいそうな場面を、上手に笑いを振りまいてくれて。でも、ちゃんと最後には悲しさの連鎖ができていて・・・。新谷さんだからこそ成立したんだろうなと。
三上さんは嫌味だけれど、最後に人情味を見せ付けた編集長はらしかったです。でも高校生役には度肝抜かれました。
でもこれも八十田さんのオカマ&小学生に比べたら、ねー。オカマちゃんがたまりませんね。管理人さんは本当に憎めない。プライバシーどんどん侵害するけど憎めない。だって寂しがりなだけなんだもんね。そこがにじみ出ててたなぁ。


これ、本当に見に行って損は無いと思います。
こういっては何だけど、e+はまだ半額チケットあるみたいだしもっとみんな行ったら良いのに。天王洲はちょっと遠いけれども、いいお芝居が待ってますよ。