神保町花月『4.5階の狂気』

脚本:オパヤン
演出:白坂 英晃
出演:カナリア/レアレア/ワンケイJAPAN/スリムクラブ/オバアチャン
あらすじ(公式HPより)
ヤクザとしての仕事を失敗してしまい追い込まれた1人の男。
失敗を取り返そうと、起死回生のチャンスに遭遇する。
チャンスをものにしたと思ったのも束の間、
チャンスからピンチのどん底へ突き落とされる。
そんな時に絶望した1人の男が現われる。
絶望に打ちひしがれた男達に光は差し込むのか。
希望なき絶望の淵でもがく、奔放な男達の物語。

4.5階段の狂気舞台写真
お話がとにかく王道って行ったら王道なんだけれどもとても好きなタイプでしたね。男芝居すきなんですよね。ヤクザの世界っていうのがベタですけど。ここ数本の神保町の芝居がそこまではまらなかったので見るまでカナリア班もどうかなぁなんて思っていたんですけれども、オープニングの役者紹介の演出で「これは絶対に好きな芝居だ」って思えたので最初から最後まで楽しんでみました。


失礼ながらも見るまでがとても心配だった主役の溝黒さん。めちゃくちゃ良かったです。衝撃的な「4.5階」を「4.2階」という間違いもあったけれども、そんなことが気にならないほど。安達さんとのシーンはどうしても「カナリア」風味になってしまうけれども、大浜さんとのシーンはどれもこれも好きでした。髪形をちょっと変えるだけであそこまで雰囲気ごとがらっと変えてしまうのも素敵だ。
安達さんはもう抜群でした。自分のこの手で殺したかったのに、それを目の前で叶わぬこととされたときがもう素晴らしかったです。表情といい、声のトーンといい悔しさと怒りとがごちゃまぜになったのが凄く表されていて。そんな中でも笑いどころは笑わせて、でもシリアスなところは一瞬で空気ごと変えていて凄いの一言。
大浜さんは風貌と違う役どころって言ってましたけれども、個人的には凄く「何をやっても裏目に出てしまう、情け無いチンピラ」がはまっているなぁと。いい意味でね。レアレアをあまり見たことがなかったので、演技しているのが違和感なくて普通に素敵な役者としてみてしまいました。桑折さんはピンポイント出演でも、締めるとこをもっていくおいしい役で。
スリムクラブは二人ともずるいんだもの。真栄田さんは貫禄ありすぎるでしょう。その上あの声。ずるい以外の何者でも無いですよ。本当あの毛皮とあいまって動物。しかもでかいし。いい席で見せてもらってたんで、舞台端に真栄田さんが立つとものすごい威圧感。本当にボス然とした佇まいが似合う似合う。内間さんはもう苦労の末の国籍不明な感じがずるすぎますよ。そのうえなんか必死で一生懸命な姿で演じられたら、目が離せなくなってしまいますよ。
ワンケイJAPANのお二人は、中沢さんは内間さんに振り回されて一緒に作り上げて試行錯誤している姿が印象的で。藤原さんの芝居が個人的にとても好きでしてね。巧いなぁって。
オバアチャンは赤枝さんの芝居を個人的にとても楽しみにしていたので、期待通りいやそれ以上だったので大満足です。若頭の役だからまんま「狂犬」に見えて。何でしょうね、一番後輩で最年少のはずなのにあの貫禄と存在感。最初の出てくるシーンから釘付けでした。基本的に私は神保町では「芝居より」のものが好きなんで、必然的に役者然とした芸人好きなんですよね。そういう意味では赤枝さんはこれからも見たいです。畔柳さんは今回もまたピンポイントで。でも一番オイシイ役どころでしたよね。次何かに出るときはガッツリ芝居を見たいです。


芝居よりを期待している自分にとってはかなり好きな公演でした。どうしようかと結構迷って行ったけれど、行ってよかった。