神保町花月「ソビエト」

脚本:福田 雄一
演出:大平カンフー
出演:平成ノブシコブシ/グランジ/ピクニック/ジャングルポケット 
あらすじ(公式HPより)
里離れたレストランで事件は起こった…。
偶然なのか必然なのか、その現場に遭遇してしまった
6人の男たち。
「犯人は誰なのか!?」「一体どこに消えたのか!?」
予想もしない出来事に振り回される男たちが織りなす
ミステリアス(?)なシチュエーションコメディ。
ソビエト舞台写真

というわけで、早くも第10回公演となる平成ノブシコブシ
ソビエト』を22日の土曜日と千秋楽の24日に見に行って
まいりました。
後々ファンダンゴで放送もあるそうです。
以下大いにネタバレしてますので、ご注意ください。
さすがテレビの構成作家さんが書いた本なだけあって、見応え十分でした。推理サスペンスと思うと、本の矛盾点や詰めの甘さが気になるところですが、これはシチュエーションコメディですから。大王こと後藤さんの書いたコメディのように、見ている時は本当に楽しくてでも終わって劇場出る頃には「で、何だっけ?」って良い意味で何も残らない感じが大好きでした。福田さんは本当にノブシコブシが好きなんだなぁって感じる台詞や役柄が出てて。「破天荒」しかり、「キャンディキャンディ*1」しかり。


徳井さんが座長ですか?ってほどのリーダー加減。全てのボケを一手に引き受けて、拾って拾って拾い捲るのにサイコって!もうね、サイコスイッチがONになったときの表情が、上向き加減なのが相まって凄まじい雰囲気を醸してました。もう目の輝きが本当に「爛々と」って表現がぴったりな感じで。初っ端の「電波を探す」ところからバキバキしてて良かったです。そして中盤の大さんと見詰め合っているシーン。電波たまり過ぎでしょう。


吉村さんの名探偵スイッチの入った瞬間の作家の目つきが大好きです。登場時から舞台映えするのはわかっていたんですが、探偵スイッチ後はきらきらしてました。そして、話も大詰めの戦闘シーンでの野次馬に対して吠えて吠えて吠えまくっている時は、本当にカリスマ性を感じるほど。本当に素晴らしい。その後の死に様ったら!!


遠山さんはやっぱり巧いんだよなぁ。「長くなっちゃうから失敗でいーよー」「トイレ借りるねー」のトーンの軽さが堪らなく好きでした。力を抜いた演技と、過剰な演技どちらもがごく自然にスイッチできるって本当に凄い技術だと思う。演技だけを見たら一番技巧派かも。端々に刑事としての顔もちゃんとのぞかせてるし、何よりパーマを落とした後の遠山さんの演技が本当に素敵に見えて。不覚にもときめいてしまいそうでした。


大さんは両極端のキャラクターを、あの早替え込みでこなしているのが凄すぎる。最初化け物として登場するときの動きが本当にモンスター以外の何者でもないよ。しかしキャラクター付けの一環としてでもあの関西弁が中途半端に下手すぎてちょっと萎えた。ヤクザとの差別化なんだろうけれども、そんな安易なキャラ付けしなくても、大さんならなんなと演じ分けただろうに・・・。もったいなかったなぁ。まかさの三島由紀夫発言には度肝抜かれました。その分ヤクザ役のほうは本当に申し分ないほどのはまり役。それまでの空気感を一変してたもんなー。目のぎらつきが本当に追われているようで。


五明さんは本当にずるい。骨伝導で喋りながらの登場なんて卑怯だよー。しかし五明さんのあの貫禄って何なんでしょう。もう先生にしか見えませんよ。「この中に犯人なんて居ない!!」大好き。「バッテラ」って響きだけで笑えた。


ピクニックはとにかく誰かとユニット組んでいるのも見たことないので、全てが新鮮で。でも一人コントができるんだから演技力には心配がないわけだしと、かなり期待して見に行ったのにも関わらず上回るほど満足。ピク兄はとにかく声とめがね姿のコンボが個人的にヒットでどうしようかと思いました。あの声で「良い音〜」は鉄板ですよ。戦闘マニア振りが露呈してからのピク兄は絶好調でしたね。ホワイトジャッカルとあの声が良く似合うんだ。


他に好きだったところを書き出しましょう。もう個人的メモです。
・とにかくOPのVTRが格好良すぎる。モノトーンって本当にしゅっとしているのね。舞台装置から小道具から衣装、何から何までモノトーンで、それがこの話の世界観にぴったりで素晴らしかったなぁ。
・アイスコーヒーのくだらないくだりがとても好き。
・「いやいや」「いやいやいや」「いやいやいやいや・・・」の応酬
・「はい、バター」の連呼は笑いを誘う
・「オムライス」「デミグラスハンバーグ」「オレオ3枚」からの「焼きうどん」
・バケモノ=大さん
・タライ落ちてきた!!ココだけシュール。
・いろいろ合ったスイッチ。「探偵スイッチ」「サイコスイッチ」「ホワイトジャッカルスイッチ」
・人違いに気付かずに、ヤクザと戯れるちびっ子。このときのピク兄のジャレ具合が堪らなく可愛くてしかたない。本当に可愛い。*2
・やっぱり「良い音〜」は鉄板
・巻き戻しの演出、好きなんです。ちょっと暗転長かったけど。
・戦争が始まったぞ!のピク兄がとても良い。戦闘ネームがまさかの「ハッピーターン」。巨人兵はもはや悪口。東京タワーとホワイトジャッカルは兄弟なんだぞ。ブラジルで生き別れた兄弟の抱擁の身長差に爆笑。吉村さんの死に様は天下一品。一旦止まって、みんな生き返るのね。
・一旦止めた後の、再開の瞬間の全員のポテンシャルの高さに驚愕。
・パーマ液がこんな感動を招くなんて。
・徳井さんと大さんの「ネタあわせ」の件が素敵過ぎる。
・作家@吉村さんが最後にピンスポ当たって残る最後が、程よい余韻を楽しませてくれてとても好き。ここの演出が前編通して一番ぐっと来た。カンフーさん凄いな。そして、あの状態で絵になり様になる吉村さんのオーラにびっくり。
・消えた死体の謎解きはおまけ。


しかし千秋楽ってだけであんなにも芝居が良い方向に変わるものなんですね。土曜日も見たんですが、正直前半ちょっと個人的に乗り切れなくて。でも千秋楽は最初から最後までガッツリと集中できたんですよ。あの演者の千秋楽パワーって本当に凄いんだなって。5期6期生の凄みを感じられた気がします。何よりもったいなかったのは、ファンダンゴ放送が土曜日分だってこと。ま、カメラが入っていたからそうなった感は否めないかもしれないですけれども。でも演者の誰一人演技力に劣る人が居ない公演って言うのはこうも凄いものかと実感させられました。それこそMOMO-TAROがそうであったように。神保町の10回目という節目の公演としてはこれとなくぴったりな公演でした。これにピク兄が出て居るということがなんか嬉しい。

*1:吉村さんの前のコンビ名でしたよね??

*2:はいはい、アホです。すみません。