神保町花月『プリンス・オブ・サンタクロース』

『プリンス・オブ・サンタクロース
脚本:堀江 B面(劇団THEフォービーズ
演出:堀江 B面(劇団THEフォービーズ
出演:
LLR/グランジ/こりゃめでてーな/セブンbyセブン/トレンディエンジェル
国崎恵美/ボルサリーノ/オコチャ/岡田亜矢/くすのきひろみ
あらすじ(公式HP)
遠い遠い空の上・・・。
サンタクロースの暮らす世界があったとさ。
サンタの世界に生まれたサンタの王子の成長物語!

クリスマスに神保町花月が送る、 
ちょっぴりセンチなラブストーリー!

ネタバレしてます。
そのうえたぶん気持ち悪い感じの感想になるんで、自己満足って事で(笑
隠させてくださいませ。
ストーリーとしては、本当にPOP&CUTE。フォービーズだなって感じで。
あの福田さんが「優しさに触れて、一つ成長する」って話でした。
トークライブで遠山さんも仰ってましたけれども、ここ3作品連続で人がばったばたと死ぬ話が多かったので異色な感じに。


夏の単独ライブで、まさかの『福田花月』を勝手に上演していたLLRが満を持して(?)の座長公演。期待と楽しみ半分、不安半分でした。でも脇にグランジがいるから大丈夫だろうという、グランジへの私の全幅の信頼はなんでしょ。
とにかく座長の福田さんですよ。福田さんがプリンス役だと知って1公演追加した私ですから、きゅんきゅんさせられるのは覚悟の上だったのですがその予想を軽く上回る感じがたまらなかったです。1回目を見たあとの電車で、にやにやの止まらないこと。気持ち悪言ったらないですね、私。これぞ神保町マジック。父親が偉大だとわかっているからこその反発心とその裏側にある尊敬の念。人間界に降り立ってからの不器用な振る舞い。そしてまゆみへの不器用な優しさと愛までには育ってない淡い恋心が胸にぎゅんぎゅん来るんですよ。セシルがまゆみに手を引かれて、雪祭りを楽しんでいるシーンがとても好きです。そしてまゆみの幸せを願うからこそ、魔法を取り戻してサンタに戻ることを決意するときの表情がなんとも切なくてじんわりと胸を打ちました。ラーディンとパトリーヌと一緒にサンタ界へ戻るときに、ずっとうつむいていたセシルが「人間って良いものだな」と顔を上げるときも凄くいい表情だったなぁ。福田さんは、自ら「福田花月」をやっておきながら、そんなにはお芝居が好きではないんだろうなと思わせる言動が時々他のライブで見られましたけれども、私は凄く今回の福田さんの演技がいつものあの性格をすっかり忘れさせてくれるくらい、不器用なまでに純粋で心を打たれるものがあったのでまた神保町に戻って来て欲しいなと思います。*1あと、本当に気持ち悪い感想になってしまいますけれども、制服姿で登場したときにふわっとしました。自分の中の時計が危うく高校時代まで巻き戻る感じがしました。あとなぜかしっくりきたフッリフリのブラウス。
伊藤ちゃんは大根振りが懸念してましたけど*2思いのほか良かったです。どうしても台詞回しで、いいシーンなのに笑っちゃいそうになるところもあるんですけどね。逆にわざと、ものすごく棒にしたりの演出でいい感じになってました。だからこそ最後、セシルやまゆみを説得するところは心に届いたし。でも一番好きだったのは、まゆみを見つめながらのフガフガしているシーンですけれども。今回は五明さんとのコンビ。五明さんの役「次郎」のインパクトがとてつもなかったからなぁ。神保町4作品目にして、やっとおじさん役脱却かと思えばあのキャラクター。一人称が「オデ」なんてずるい!千秋楽は宝物あげるーが「どんぐり」だったけれども、土曜日見たときの宝物が「ちくわの輪切り」でこっちのインパクトが(笑)。叩かれたりすると、頭の中が真っ白になる設定って。「人間すぐ壊れる」って五明さんが言うと怖いです。竜司と次郎が手をつないでいるのは、これはこれでとっても素敵でした。なんでかはわかりません。
先に人間界から感想を続けましょう。
グランジ遠山氏&くすのきさんのペア。これは遠山氏ずるいです。キャラがちでしょう。暗転中からあの表情キープなんてずるすぎますよ。しかし本当に遠山さんは主役もびしっと決められるし、脇に回っても主役の範疇は侵さずにでも脇キャラとしては見せるところはがっつり貪欲に見えられるって本当に凄いな。神保町でグランジを見るたびに、どんどん遠山氏に惹かれますね。そしてどんどん期待値が上がっているはずなのに、それを軽く超えてくれる。やっぱり凄い好きです。くすのきさんも「ハッピーな片思い」のときは相手役のノブシコブシ吉村氏の濃さに、霞んでしまってましたが、今回はいい具合に恭子というキャラクターにしがみついてたなぁと。途中からちびまるこちゃんのたまちゃんにしか見えなかった。可愛らしい。
まゆみ役はフォービーズの女優さんの岡田さん。本当にフォービーズはいい女優を抱えてますね。岡田さんは現在のまゆみも、過去のまゆみにも無理がないのが凄い。セシルが、出会ってすぐに「彼女の為に、この世界に残ろう」って一度ではるけれども決意させる魅力を感じさせてくれましたもの。すごく照れくさそうに、セシルに青いマフラーを巻いてあげるシーンがとてもきゅんとしました。まゆみの相手役といえば享奈緒さん。プロローグとエピローグだけの出演なのにいいと思わせる声のよさ。声が最高に男前ですね。
ボル姉も良かったです。特に山田さん。土曜日はちゃんと標準語でなんとかしてたのに、千秋楽の名古屋弁祭。やりたい放題だったなぁ。芸歴を感じますね。
そしてサンタ界。
なんといってもずるい2人は大さんと国崎さんでしょう。
大さんはとにかく酒焼けののどをどうにかしてください(笑。そんなことより、発声練習はやりたい放題。国崎さん演じるフィリリンがパンツ見せたら「素晴らしい」のオンパレード。千秋楽はとうとうフィリリンに乳押し付けられてましたね(笑。なのに父としての役割を見失っていたと、セシルに対して反省しかえってきて欲しいと懇願する姿は、子を思う父の気持ちがとても伝わる演技だし。大さんはふり幅がでかすぎて大変です。
そして国崎さん。さすがの新喜劇女優。トークライブで「大阪から逆セクハラしにきました」と仰ってましたけれども、本当に新喜劇の女優さんは自分を見せる能力が桁外れですね。とにかくフィリリンには笑わせられっぱなしでした。あの福田さんがタジタジになってしまう国崎さんのパワーって本当凄い。千秋楽は、通常以上にとセシルに迫って行ってて、セシルのメイクがぐちゃぐちゃだったそう。「今日はセシルのチークが可愛いくらいに色が入っているな」なんて思っていたんですが、単にガッときた国崎さんに顔面をこすられた赤みだったもよう。最後の最後、セシルとフィリリンがいちゃついて終わるんですがキス狙って欲しかったなぁ(笑)だってほら、お笑いの舞台ですから。行っちゃえば良かったのに。あのスカした座長に、芸人の洗礼を!!って。
サンタ界で思いのほか良かったのが、こりゃめでてーな大江さんのパトリーヌ。セシルの気持ちも、ラーディンの気持ちも汲み取れるさすがサンタ界の仙人。その重厚さ、そして温かみを存分に発揮してらしていいなぁと。セシルの友達役の、玉城さん、伊藤さん、オコチャも良かったなぁ。特にオコチャは、見たことある演技がオトメメンでの「いつもの」って感じの演技ばかりだったので、ちょっと新鮮でした。しかも「立てない男」も見れたし。天使ちゃんたちはただただずるい。


もともとLLRが好きな人で、福田派にとってはこれ以上無い芝居だったと思います。私はやばかったです。きゅんとさせられましたしね。心底「これが『萌』って気持ちなんだな」と実感させられました。
クリスマスのこの時期に、こんなにきゅんきゅんする気持ちになれるお芝居を見れて良かったなぁ。高校時代の純粋な恋心を思い出させてくれるような、好きな人を作りたいなぁと思わせてくれるような心がホカホカする2時間。素敵なクリスマスプレゼントでした。
しばらくはジュディマリの「クリスマス」聞くたびににやにやしちゃいそうです。


さて、LLRを見るときのテンションを神保町前に戻さないと!!
セシルと福田さんは対極ですから。

  • 竜司「あーあ、なーにやってんだか(棒)」
  • 次郎「オデには暑いとか寒いという概念は無い」
  • 健太のやりたい放題ぶりに業を煮やしたセシルのビンタ
  • 次郎「竜司がごめんねー」
  • セシル「ホイのホーイ」「ホーイ!」「ホーイ!」

*1:多々通常の福田氏に暴言がありますが、全て褒め言葉です(笑)

*2:勝手に懸念してました。失礼