神保町花月「日の出アパートの青春」

『日の出アパートの青春
脚本:西野 亮廣(キングコング
演出:鈴木 つかさ(ザ・プラン9
出演:
カリカ/武内由紀子/あべこうじ/犬の心/なんしぃ(大好物)/すっちー
川端麻衣
あらすじ(公式HPより)
八瀬町のカサブタこと「ヤセブタ」の異名を持つ連続痴漢魔が出没する京都市八瀬町。 この街の日の出アパートに住む住民が犯人捜しに奮闘します。
出演は自ら劇団を作り芝居で高い評価を得ているカリカ、神保町花月オープンから定期的に出演し確実にファンを増やしつつある犬の心、メディアでも期待されるあべこうじに、大阪の吉本新喜劇に入団した元ビッキーズのすっちー等を加えたメンバーが犯人捜しを通して心をひとつにしていくハートウォーミングなお話です。

DVD化が決定だそうです。ネタバレしてますのでご注意ください。
期待に期待していたカリカの神保町花月初出演。脇を固めるのがあべさんに犬の心ときたら、期待しないほうが無理です。本も100本映画で評判の良かったものだし、演出はつかささんだし。
とにかく演者が素晴らしかった。
オカマでもなく、女性でもない「ただただ普通の青年」を演じる家城さんってだけでかなり新鮮なのですよ。その上、普通な役柄だからこそ見えてくる演技の巧さに大満足でした。家城さん演じる太一が本当に本当に優しくて。真由美に「夫婦になりませんか?」とプロポーズするシーン。本当に胸にぐっときまして、恥ずかしながら泣いてしまったんです。本当に心から優しさが溢れてて、真由美は絶対幸せになるんだろうなと思った嬉しくて。たまに出るオーバーな芝居の「ギザネ申す!」なんかといいコントラストで。やっぱり何かを演じている家城さんが好きだなって。
林さんはずるいのひと言でしょう。もう連続痴漢魔役があそこまでナチュラルにはまる人もいないですよ。「ばれてる?」ってコミカルな演技も、新たなターゲットを見つけたと嘗め回すように見る様も全てが素晴らしい。ただ、ひとつ贅沢を言えばもったいない。この役は林さんのほかに考えられないけれども、でも林さんはがっつりな芝居でこそだと思っているので。次回作では、物語の核となる役でとことん演じているのを見たいなと。
押見さんはキャラにない役柄で、新鮮でした。あのなんともいえない体型がとても役柄にぴったりで。ハプニングも多かったし、いい意味で、いっぱい舞台の神様が降りてましたよね。吹っ切った「シコシコマン」は何度見ても、顔を背けたくなります(笑)純粋に最後までヲタだったのが良かったなぁ。
池谷さんは今日もキラキラしてましたな。映画版のキャストを見たら、この役はおかけんたさんだったようで、キャラクターに納得。そしてけんたさんバージョンで「ええ声〜」見たかったかも。池谷さんはなんせ、歌うたびにちょいちょい違う曲になってるので(笑)泥酔したときの演技が完全に好みだったので、私はキラキラしてない池谷さんのほうが好きなのかも・・・(笑)オーバーな演技も素晴らしいけれども、抑えた演技が光る人なんだなと思ったり。
あべさんの普通な青年の演技も結構珍しいかも。こういう普通さに巧さを見出せるって本当に上手なんですよね。若干ウザい部分もかもし出しつつも、アイドルへの接し方とかが「平均的」男子で。脇を固めるあべさんのポジションとしては遊びが少ないほうだったのかも知れないけれども、こんなあべさんももっと見てみたいなぁと。
武内さんは本当出ているだけで安心感。おじいちゃんのいなし方、原口とともにヤセブタを捕まえるぞ!と意気込む様子。どれもこれもが可愛らしくて。特におじいちゃんとのやり取りはほのぼのの極みですよ。
でおじいちゃんの須知さん。ポケットから何が出てくるか、わくわくで。栗ご飯まではいいにしても、うどん!見たかったなぁ。でろんと出て、客席を引かすほどのうどんの爆発力(笑)


ただ期待値が高かった分話の内容はそこまで入り込めるものでは・・・。個人的に私が後藤ひろひと大王の脚本の芝居が好きで、そしてキングコングの西野さんも大王が好きだと公言されてて。多少なりとも影響を受けているんでしょう。でもそれが大王を好きな分、物足りないというか。まぁ、西野さんを大王と並べて考えるのが悪いという話ですが。
DVD化は決定な様です。買うか買わないかは別として、この話をソフト化するならば神保町での演目の中では、もっとちゃんとした形に残したほうがいいものが他にあるんじゃないかなんて思ってしまいます。ま、個人的なわがままですけれどもね。ファンダンゴが閉局になる今だからこそ、そんなことを考えたり。