パコと魔法の絵本

パコと魔法の絵本


監督:中島哲也
原作:後藤ひろひと(「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人」)


出演:
役所広司
アヤカ・ウィルソン
妻夫木聡/土屋アンナ/阿部サダヲ/加瀬 亮
小池栄子/劇団ひとり/山内圭哉/國村 隼/上川隆也

かなり原作に忠実なんですね。その上で舞台では出来ない、空間の広がりと劇中劇のファンタジーさが相まってものすごく素敵な映画でした。好きだった台詞がそのままスクリーンで聞けるのは幸せですね。
今年の春に舞台の再演を見たんですが、もうありえないほどドはまりしたからこそ映画版を見るのがちょっと怖かったんですよ。大王の作り出した世界が壊れていたら嫌だなーって。それがなくて、そこに中島映画特有の色彩感が加わってより素敵になってました。
自分が生で見たパコが一番可愛いんだ!!って思ってたけどアヤカ版パコも可愛い。やっぱりパコが「大貫!」って呼び捨てするところは何度見ても微笑ましいんです。役所版の大貫は舞台以上に嫌な奴に感じられて(笑)だからこそパコに出会って、止め方がわからないほど涙して、「パコの為に何かできることはないか?」と毎日パコに絵本を読んであげる姿に心打たれましたよ。もう途中から涙が止まらない。その合間合間に阿部サダヲがやりたい放題だし。こっちの堀米のほうが大王バージョンに近いのかな?って思ったり。良いですね、サダヲさんであのキャラだとカメラ目線が違和感無い(笑)甥っ子夫婦は舞台版以上にアニメーション。栄子ちゃんのキャラクターのデフォルメ具合がたまらなかったです。劇中劇になってからも「食われたーーー!!」って爆笑。でもって怖さ具合が倍増。そんななかの「あ、雅美ちゃん死んだ」がこっちでも聞けてよかった。映画なのに、場面転換容易なのにこの台詞残してくれた!!って。ザリガニ魔人@ツマブキくんもなかなか。舞台版はオカマ要素が多かったのに、映画版はもっと混沌としててカオスさが増してより子役から脱却できない苦悩が露呈しまくってたかなと。こりゃまだ成人俳優として無理だなって(笑)アンナちゃんのナースは、ゴリゴリの不良さと劇中劇の可愛らしさのギャップが最高。本当に可愛かった。中島映画には本当アンナちゃんはぴったりだな。
圭哉さんは一番舞台ベースだったかも。やっぱりジュンペイが死んじゃったシーンは、笑っちゃった後に一緒になって泣いてしまうんだよね。なんて素晴らしいシーンなんだろう。木の元さんは映画ではオカマに。「男はコーヒー、女はミルク。オカマはカフェオレ!オカマ、バカにすんじゃないわよ」名言!消防士の件は、原作の設定がひとつ抜けたことでちょっと弱くなったのが残念だけど・・・。それでも劇中劇の最後に滝田が起こす奇跡は大好き。やっぱりあの奇跡は照れちゃうほど素敵だと思う。最後に上川さん。あんなお芝居する人だったのねーって驚いた。だって、舞台版の先生よりもファンだジー度が常識超えてる!岡田さんバージョンは「少年」って感じの無邪気さだったのにこっちの先生はもう存在自体が妖精のようだ(笑)初っ端のピーターパンでやられましたね。めがねの曇り方といい、金色のラメラメを振りまく感じといいずるい。なのに劇中劇中の(おお、わかりにくい!)ナースとの会話でのテンション一転な締め具合とかもう本当巧いなぁって。
しかし本当に面白かった。「下妻物語」が結構好きだったので、中島監督は心配なくてもやっぱり大きなネックの「原作好き」っていうのがあって。でも普通の原作ものとは違って「原作とは別物としてみよう」なんて悲しいことを思わずに居られる素敵な映画でした。あ、ひとつこれ書かなきゃ。大王の出方は卑怯(笑)本当ずるいよー。でももっとずるいのは彦麻呂。これいろんなところで「彦麻呂笑うよ」って聞かされてたのに、それでも出てきたら爆笑しちゃったもんねー。
もう一度、なんとか時間を作って見に行きたいなと思ってます。次はちゃんとハンカチもってこ。昨日、会社帰りに急に思いついて見に行ったら、ハンカチ忘れてティッシュで涙ぬぐってたらポケットティッシュ一袋で足りなかったよ。