劇団新感線 いのうえ歌舞伎・壊「蜉蝣峠」

作:宮藤官九郎
演出:いのうえひでのり
出演:
古田新太  堤 真一  高岡早紀
勝地 涼/木村 了/梶原 善/粟根まこと/高田聖子/橋本じゅん
右近健一/逆木圭一郎/河野まさと/村木よし子/インディ高橋/山本カナコ
礒野慎吾/吉田メタル/中谷さとみ/保坂エマ
村木 仁/少路勇介/川原正嗣/前田 悟/他

初めての赤坂サカス。もっとだだっ広いのかと思ったら意外とこじんまりしてますね。動線がどうやらダメダメと噂の赤坂ACTシアターへ行って参りました。自分が2階席だったからか動線の不具合は感じられず。一番端っこの席だったんだけど、見え具合もそんな悪くなかったです。でもS席の値段で2階の4列目とは言え一番端っこはないんじゃないのとは思いましたけど。
まだ東京公演が終わっただけでしたっけ?内容に触れているので畳みます。

  • 新感線だけど脚本は宮藤さんてことで、若干舞台での宮藤作品に苦手意識のある自分としてはどうだろうなと思ったんだけど、面白かった。
  • 古田さんの芸能生活25周年記念公演の割りに主役が堤さんかと思ったよ。闇太郎(古田新太)は最初あほな振りして本当小学生並みの下ネタだらけなんだけど、これもちゃんと意味があったり、浪漫街に来てからはすっごく格好良いのよ。特にお泪ちゃん(高岡早紀)との子供らしからぬ接吻は色香が漂いすぎててどうしようかと。
  • 天晴(堤真一)と闇太郎の最後の殺陣は、どちらも重厚でありながら質の違う格好良さがあって見に来て良かった。特に天晴の殺陣は、豪快なすそ捌きゆえちらちらりと見える褌が抜群にセクシーだったんですよ。つっつんだからだよね、うん。あと天晴は劇中3度ほど着流しをお色直ししているんだけど、この殺陣の際の純白の着流しがまたいいのですよ。ばっさりと斬った際の血しぶきが映える映える。こんな弟がいたら、そりゃ姉ちゃんのお寸(高田聖子)も100回も離縁しちゃうよね。寝返っちゃうよね。
  • 堤さんといえば、初っ端の軍鶏(シャモリ)ですよ。まさか早速着ぐるみだとは!!ネイティブ関西弁もたっぷり堪能できましたしね。またここがただのおポンチシーンかと思いきやちゃんと伏線の一部なんだから本当このお芝居気を抜く暇がないです。
  • そうそう子供らしからぬ接吻といえば、立派(橋本じゅん)とお寸の接吻はそれにも増して濃厚な絡みでした。本当にこゆい夫婦。
  • お泪ちゃんは本当に声と佇まいが抜群。高岡さんに恋の噂が途絶えない理由がわかったよ。あのフェロモンは異常だ。最初にこの芝居が発表されたときは、別の女優さんがキャストに名を連ねてたと思ったがこれは早紀ちゃんで正解でしょう。ていうか今となっては高岡さん以外ありえん!てくらいのはまり役では?「闇ちゃん」って呼びかけの似合う声だな。
  • 劇団員のみによる贋作パヒュームちゃんがメタクソ可愛いぞ。本当は全然可愛くなんてないはずなのに可愛いじゃないか。オッサン3人組なのにね。じゅんさんがあーちゃんでOK?
  • 前半はおポンチ?って思うほどな笑いと下ネタの量なのに、というかだからこそというか後半の怒涛の展開が引き立つことこの上ない。でも最後まで理解が出来なかった天晴の真意。ヤクザの家に生まれながらも武士への道に一筋の光が見えたと思ったら裏切られた。このことへの復讐なんだろうけれども、その復讐心の向かっているベクトルがイマイチ見えなかったんだよね。
  • 涼&了コンビは本当にぴったりだったよね。特に勝地さんがむちゃくちゃ可愛いかった。犬顔〜や未来講師めぐるの時のような、愛すべきアホの子に加えて悲しみ・せつなさ・憤りを上手く兼ね備えた銀ちゃんだったなー。旅回り一座の看板に手をつけた落とし前に、男根切り落とされて(くっつけようと思ったら闇太郎に食べられて)、それでもまだ男として生きてみようと「あるていで」できるところまでやってみようとお菓子(女郎)を抱いてみたものの上手くいかず、ここでもけじめをつけろと2代目のお菓子となって生きていく羽目に。そんな時「走っている姿が格好良い」サルキジ(木村了)に出会い、恋をして女として生きていく決心が付いた矢先サルキジに「自分は女だけど、ヤクザの家に生まれたから男として生きてきた。でもお菓子ちゃんが男なら、元に戻れば良いじゃない」と言われちゃってサルキジを殺しちゃう。結構銀ちゃんがサルキジを殺しちゃうのって唐突に感じるけれども、でも銀ちゃんとしてはこれまでなんとか「あるていで」やってきたけれどもサルキジっていう「格好良い男」に出会ってちょっとすくわれたんだと思うんだ。それなのにあさっりと「元に戻れば良いじゃん」って。サルキジは直ぐに戻れるかもしれないけれども、自分はもうないものはないんだし戻れないから裏切られた気持ちになったのかな。悲しかっただろうし、辛かったんだろうな。あとは闇太郎への愛情かななんて考えたり。
  • 台詞では闇太郎の「人に生まれたばっかりに、人でなし呼ばわり」が好きですね。
  • ガメ吉の「あんたも源さんかー」のシーン。1幕で見た際は笑いが起きたシーンだったのに同じシーンでも背景がわかった途端にあんな悲しいシーンになるなんて。
  • そうそう闇太郎の歌声は素敵でした。


さ、次の新感線はもっと激戦間違いなしのキャストですからね。またチケット取り頑張りましょう。