神保町花月『サンデー・マガジン・ニシムラ』

脚本:宮地謙典ニブンノゴ!
演出:小林七緒(流山児★事務所)
出演:
ジューシーズ/バッドボーイズ/アームストロング
タカダコーポレーション/菊池健一
あらすじ:
いじめられっ子オタク3人組の書いた不良漫画が人生を変えることに!?

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ジューシーズの初主演、そしてどうやら主役は児玉さんらしいとあって楽しみにしてました。終わってみればジューシーズはもちろんですが、菊池さんにときめいた2時間でした。
主人公・西村を演じた児玉さんはいじめられっ子グループの一人。一緒にいじめられている友達を楽しませるためだけに、通っている高校を舞台にした『東秀喧嘩列伝』という漫画を描く男の子。その漫画がいじめる不良に見つかってかるも、その面白さに気に入られどんどん漫画だけが独り歩きをはじめるそんな流れに困惑する姿が、とてもよかったです。また別の困惑で、あこがれの加藤さんのマンボー話に振り回される姿もなかなか。千秋楽ということもあって、いつもは参加する流れじゃなかったはずのイロモネアに参加させられ、一瞬で挙動不審になった時の顔が酷くて(笑)急に動きまでくねりだして気持ち悪いし。そんな気弱な感じから、女生徒をめぐる事件からキレ、学校一の不良相手に「もういやだ。もう漫画は描かない。」と突っぱねるシーンは、本当男の子の真の強さが見えてすごく良かったです。うん良い役だったなー。
赤羽さんと安村さんは、西村と共にいじめられている男の子。この2人の組み合わせがもろにいじめられっ子って感じだし、かわいいし。西村の漫画のおかげでいじめられなくなり、これまでのいじめの仕返しだと調子に乗っちゃう感じがらしすぎて。またその調子の乗り方も、「おなかがすいたと言ってます」と放送して食べ物持ってこさせるみたいな、いかにもぽっちゃり男子らしいかわいげある感じで不快感がなかったのもよかったな。そうへらへらしてるだけかと思いきや、友達が漫画を描くことをたまりかねて拒否した時に、これまで友達の本当の気持ちに気付いてあげられなかったことを悔いて、共に不良に頭を下げる友情にぐっときました。このシーンは、現在の強い友情と過去に壊れてしまった友情が同時に存在してそのピリピリした感じも相まってすごい良シーンだったなと。
松橋さんはストーリーテラーも兼任した感じの役柄で。中盤までは本当ナレ役割だったんだけどちょいちょいずるい。しかも後半だけで3パターンの衣装替え付きってなんのサービスですか!(笑)特に西村のアシスタントになってからはずるいの一言。何とも言えないミントグリーンのワンサイズ小さいよねと言わんばかりのフィット感のタートルネックも、パンツの丈も眼鏡もすべてがずるかったー。そんな風貌なのに、元はこの学校の一番の不良という過去もあるから現No1の不良たちを前にして、啖呵切っちゃうところが思った以上にびしっと決まって素敵でした。普段見る松橋さんからは想像できない感じで新鮮。
バッドボーイズは本当はまり役。脚本の宮地さんがすべてあて書きで書いたとのことなんで当たり前にぴったりなんだけど、特に。逆にバッドさんが休演で2700が代役だった日は違和感出ちゃったろうなと。それくらい佐田さんはぴったりだったな。佐田さんの持つあの本物感がないと成立しないでしょう。特にラスト、加藤とタイマンだ!ってなって、加藤に「本気で来いよ。じゃないと4コマになっちまうからな」と挑発され「俺は強くなったんじゃ」と言い返し事実その勝負に勝つという流れに説得力が出すぎですもの。清人さんも不良学校の生徒会長の真面目ぷりも、事実が漫画になると噂になりみんながみんな喧嘩自慢を始めた頃のアピールぶり、そしてまさかのファイトクラブでの強さ(笑)。そしてまた最終的には以前のキャラクターに戻る感じとかぴったり。
栗山さんとおやき、DH億のいじめっ子トリオ、そしてマドンナ的存在でありながらもキーとなる女生徒の大貫さん。その他の出演者の印象が強すぎて・・・。DH億の野球物まねはさすがの一言。何度見ても、石井一久の真似は笑ってしまう。
さて菊池さんですよ。西村があこがれ、漫画の主人公として描く誰ともつるむことなく、一匹狼な格好いい先輩がめちゃくちゃはまる!エチュー1で初めて演じてるところを見たんですが、普段見てたのがmoftoなんでギャップが!!NSc2期生・元芸人さんで、現在は役者というスタンスで、どちらものいいところを兼ね備えたアドリブ芝居を見てから、本編で見るのが楽しみでした。佐田さんのクライマックスシーンではめちゃくちゃ迫力もあり、格好良く、カリスマ性ありあり。なのに西村相手の「鷹↑さん」「鷹↓さん」の不毛なやり取り(笑)「鷹さんハンマー」のくだりからの、島耕作〜漫画喫茶マンボーへの流れ。そして舞台上にまるでマンボードリンクバーが見えた気がした一コマ。ソフトクリームの余韻まで感じられるほど。振り幅が大きすぎます。またそのマンボーのくだりで、「いつでも俺が見つけられる方に居ろ」と言われて、ドリンクバーを表現する加藤の周りを右往左往する児玉さんがまた面白くて。また菊池さんは神保町でみたいなー。
リーダーの脚本はポップで万人が楽しめる、楽しい脚本で面白かったです。