神保町花月『オスメス』

脚本:木村タカヒロ
演出:板垣雄亮(殿様ランチ)
出演:
チーモンチョ―チュウ/ブロードキャスト/ピクニック/ノンスモーキン
国崎恵美/松粼映子(マシンガンデニーロ)/大塚友里衣
あらすじ(公式HP)
オスとメス、男と女・・・
ヒヨコ性別鑑別士の男を巡る数奇な物語

あらすじは省略します。

主役級の演者ばかりの公演だったので、否が応でも期待は膨らみます。久々にあらかじめ2公演分チケットを確保したりして、本当に楽しみにしてました。見終えてみれば本当お祭りみたいなお芝居でして、普段の神保町の公演よりも笑いの比重も多くて2回見ても十分楽しいお芝居でした。欲を言えばせっかくのこの布陣なのだから、がっつり魅せる芝居も見たかったなと。本当アドリブ全開、数シーンを除けばコントのようでしたからね。でもコントでありながらも、笑いの部分がしっかりした芸人さんばかりだったのでだれることなく安心して楽しめてよかったです。最初は1時間半くらいの公演だったのが、私が最初見に行った土曜昼公演ですでに2時間弱、千秋楽に至っては2時間超えでした。いろんな意味で日に日に仕上がった感じがしました。


主役・直斗チーモン菊地さん。やっぱり器用な芸人さんですよね。若干泣きの芝居がコントコントしてて笑いそうになりましたけど、絶対にコントにならないはずのシーンだったのでそれだけ残念。底抜けに明るいからこそ、美咲の秘密を知ってしまった時の落ち込み方が映えたのかなと。最終的に直斗は美咲を女としては見てないんですよね。男とか女とかを超越したところで心から愛したって思っていいのかしら?しかし菊池さんって神保町で恋愛絡みの役柄が多い気がしますけど、毎回(背丈・・・)って思ってしまって申し訳ないっす。
白井さんが演じた川崎って役の存在意義って何だろうって見終えて思ってしまいました。だからそこ笑いの部分を担っているところが多かったですよね。すんごい楽しかったから良いんですけど。土曜の1回目公演はなぜか髪形を吉田A作さんイメージで笑ってしまいました。笑うっていうか度肝抜かれた感じ(笑)仕事のシーンでのオス・メス仕分けはアドリブなんすかね?自由気ままにオスメス分けるわ、すぐヒヨコつぶそうとするわだし。あと途中からすべてを「鳥、鳥、鳥」って言ってたのはアドリブなのか芝居の終わりを暗示したのか(はい、考えすぎですね。)桜ちゃんとのデレデレどMシーンはなかなか。楽しい。ビンタされてぐへへ、頭突きされてぐへへ。最高です。んでもって最後の最後の爆弾。ジュリさんの登場。これがまたかわいらしいんだ、悔しいかな。土曜1回目の、おさげ髪にチャイナドレスなのもかわいかったけど(エンディングでピク兄&房野大絶賛。襲う、襲う)千秋楽の『本能の時の椎名林檎コス』は相当可愛らしかったですね。共演者のブログでその他の扮装も掲載されてたんだけど、カエラちゃんバージョンも相当でした。
ノンスモ菊池さん&国崎さん夫婦がもう抜群に良かったですね。菊池さんが面白いほどちゃんとお父さんだったな。衣装が似会う似会う。奥さんにキレ口調ながらも褒められて、うれしくてデレデレしちゃう感じとか最高でしたよ。国崎さんもすごい。土曜に、菊池さんが美咲ちゃんに向かって「桜ちゃん」って呼んじゃった時に『さくらって誰よーーー!!』って変な空気になりかけたのをごっそり笑いにしてたのがすごかったな。姉さん、さすがです。コーチの弟のお見舞いのシーンでの房野さんとの絡みも無茶苦茶楽しかったです。笑うところはごっそり笑いをとって、締めるところはびしっと締める。さすが!
吉村さんと中尾さんのキャバクラコンビも自由で最高です。特に吉村さん、やりすぎやりすぎ。腹筋と背筋がお強いことはわかりました(笑)顔は見えてないし、何しゃべっているかわかんないし、メイクは日々進化して千秋楽には完全体に仕上がってましたね。そんななのに、締めるとこは締める。美咲さんの過去を直斗にバラすだけばらして直斗に「帰ってくれ」と言われた時の「失礼しました」の言い方が本当に憎たらしくてぞくっといらっとしました。一言のセリフで水商売の男の凄みを感じさせるのはすごいなと。中尾さんはムチャぶり一気コールが最高でしたよ。千秋楽の「バッキバキコール」もよかったんですけど、個人的に好きだったのは土曜のWaTコールがバキバキな顔でウェンツパートだけならまだしも徹平ちゃんのパートを歌うなんて!って思ったら面白くて。
コーチ役の房野さんも結構自由でしたね。びっしょびしょで登場なだけで十分楽しいのに、セリフはオウム返しだわ、動きは自由極まりないわでもう楽しすぎる。前回のタンバリン女に続いてイロモノ。なのにこの芝居で一番伝えたいであろう主題を言う役だなんてずるすぎます。直斗のお母さんとの病院で、弟の性別について語るシーンは本当に良かった。そんな良いシーンなのに捌け際直斗母に「よかったら」とSM道具を貰って土曜は「そんな趣味ねぇわ」って言ってたのに、千秋楽はまさかの「ありがとうございまーす」って(笑)そうそうお見舞い品を取り出しながら、周りにいるだろうおじいちゃんたちに「これ?これはSMって言ってね・・・」っと丁寧な説明してんのも面白かったな。
桜ちゃん&美咲さん。大塚さんのキャバ嬢は本当可愛かったな。キャバ嬢にしては可愛らしすぎるくらい。最初に直斗に「俺、この子苦手だわ」って言ってもらえたから、あのキャラにいらいらせずに受け入れられたし。最初に川ちゃんに貰ったヒヨコをバッグに捻じ込んだところでハートを持ってかれましたよ(笑)ドMのくだりの呼ばれるたびに心底いやそうなのに、頭突きするときは容赦ない感じも素敵女子でしたね。美咲役の松崎さんは、本当失礼なんですが元男なんですって言われたら若干納得してしまう雰囲気を持っているので違和感なしで。キャバ嬢の衣装も、デートの際の私服も、フットサルチームのユニフォームもすべて似会ってて可愛らしかったな。
ピクニックの演じた健太はほとんど本編にかかわってなかったので、ピク兄が自由で。ピクニックってこれまでの神保町ではわき役であっても本編に関わる重要な役のイメージがあるので、今回みたいな劇中で持ちネタ振られたり、ムチャぶりしたり、され返されたりとアドリブ満載・遊び十分なピクニックは初めてだったので新鮮でした。

内容は演者の豪華さを考えるとちょっと勿体なかったかなと思いますが、若手がいない分ずっしり落ち着いた笑いの多い芝居が見れたので満足でした。