神保町花月『美女から野獣』

脚本・演出:宮路謙典
出演:
ジューシーズ/ブロードキャスト/畑中しんじろう
ガリバートンネル/エキスパート/横澤夏子/今村愛

ガリバートンネル佐助はただの役者でしょう。あらすじは楽屋ブログを参照お願いします。
リーダーの作品を見るのは3回目か。しかもそのうち2回がジューシーズ主演て、リーダーどんだけ好きなんすか(笑)リーダーの作品は、笑いが多くて楽しくて、でもちょっとだけホロリとさせられる物語で好きです。今回は最初の15分くらいは、あまりにあまりな演技が続きどうしてくれようと思ったのですが、最終的には良く笑って、ボロ泣きさせられて、温かい気持ちになって劇場を後にできて幸せでした。今回は演出もリーダーが付けたってことで、本筋にそこまで関わらないところは早送りにして見たり、児玉さんに何役もやらせたり、同時に2役させたり芸人さんの演出だなーって面白かったです。あと、OPのVTRがディズニーの映画みたいな感じで可愛らしかったなぁ。個人的に演技はアレでしたが、モデルさんなだけあって今村さんがむちゃくちゃ格好良かった。

今回の公演は神保町花月には珍しく児玉さんによる前説付きでした。児玉さんの役柄が1人8役*1エディマーフィーってこともあり、それを説明だったのでこちら側が戸惑わないための優しさですかね。その割りにぐだぐだ前説でしっかり笑わせてもらいました。声出しでの、児玉「佐助ー」客「誰?えっ、誰?知らない・・・。」って言うのは後々役者然として出る佐助さんへの振りですよね(笑)千秋楽はブロキャスの房野さんも一緒に前説だったんですが、半端なく上手い!!M-1の前説に複数回呼ばれてるだけある(笑)房野「拍手は元気に大きく小刻みに!!」完璧。児玉さんがアレだけにね、差が歴然で笑っちゃいました。


今回の主役は赤羽さん。ジューシーズ班=児玉主役という先入観で見に行ったから新鮮でした。赤羽さんにしか出来ない役で、面白いし可愛いし良かったです。暗転あけてベッドがびっくりするくらい大きく膨らんでいるのを見た瞬間のワクワク感はたまらないものがありました。絶対赤羽さんが出てくるんでしょって思いながらも、あまりのフォルムの丸さに爆笑。先週の中村さんに次ぐ自虐台詞の数々に笑っちゃいました。最初は完全に赤羽さんが女の子を演じてるんだけど、元に戻れるかもって向坂さんにキスするのは可愛らしいし、初めて人に殴られたと落ち込んでるのも可愛い。そして森山兄弟に出会って、一緒に過ごすににつれいい方向に変わっていく過程がわかって、最終的には赤羽さんなんだけど中身は可愛い女子なんでしょって思えるほどでしたから。これ、本当当たり役ですよねー。
しかし今回の芝居では佐助さんに付いて書かなきゃ始まらないです。本当に素晴らしい演技だった。盲目の青年って特殊な役ってことを除いたとしても本当に凄かった。「人かい?トトロかい?」とか笑いの部分も多いんですけど、それを凌駕してましたね。最初杖をつきながら出てきた瞬間からぞわっとしたんですが、ラスト英樹が窃盗集団から抜けてきたあたりからの芝居が本当に鳥肌か立つほどで。瀕死の英樹に「汗一杯かいたから、こっち来ないで」と言われて、「じゃあ兄ちゃん、風呂沸かしておくな」って部屋に戻る瞬間の表情が、全てを悟っているように見えたんです。この時点ではまだ兄が弟のことを全部わかってたって描写は無いのに!!私が勝手に感じ取っただけで、佐助さんはそんなつもりで演じてないって言われたらそれまでなんだけど、だって勝手に伝わっちゃったんだもん!!ってことです。だから1回目、本当は全部わかってたってシーンで鳥肌がぶわーって(笑)またこのシーンがたまらなく良くて、マサミに跪いて「本当にありがとう」と手を握るシーンで涙が止まらなくて困りました。なんでこんなに気持ちがストレートに観客に届くんだー!!って。前回、10期班を見に行ったときもいいなって思ってましたが、間違いじゃなかったです。
松橋さんと児玉さんは芝居を見るたびに思うんですけど、なんであんなにメリハリがあるんでしょう。2人のシーンで、結構ジューシーズっぽいノリになることが多いんですよ。しかも松橋さんの児玉さんに対する振りが尋常じゃないので変な空気にもなるし(笑)なのに、2人とも芝居へ戻る時の切り替えが半端ないんですよね。さっきまであんなにわちゃわちゃしてたじゃん!ってびっくりさせられます。特に児玉さんで好きだわ、これって思ったシーンがあって。演出家のお遊びで1シーンで2役するわ、しんちゃんは無茶言うわでぐちゃっとしてるのに、英樹に組織から抜けたいといわれた瞬間にボスの顔になるんですよ。だからこそボスの「男に二言は無いわね。死んだらごめんねー」の言い方がとても冷酷に感じられて引き立つなって。やっぱり児玉さんの真面目なお芝居好きですね。
ブロキャスはどちらも美味しすぎる役で。吉村さんは初日だけまともな男前だったそうですが、土曜に見たときには完全に崩壊してましたね。以前「オスメス」での役の時も思いましたが、彼は男前が崩壊すると顎がしゃくれますね(笑)いいです、面白かったんで。房野さんはただただ気持ち悪かった*2他の人が演じたらここまでキモくならないんじゃ?って思うほど会場から悲鳴が(笑)確かに抱きしめてる姿も、写真にキスをする姿も(キスまでのアプローチの長さも含めて)超超気持ち悪かったです*3ガリレオ@福山の似てなさには爆笑でした。*4あとマサミとの「お前、斉藤マサミ食べただろう」の食べた食べてないの攻防は、言い方だけなのにただただ面白かった。*5
畑中さんは弟が似合いますね。華あるし。マサミちゃんが綺麗な心を取り戻した一因を担ってた英樹。英樹の兄に対する愛情が、方法は間違っていたとはいえまっすぐで、それに触れたから改心できたんだよねって納得できる感じが本当に良かったです。沢木に殴られてるマサミを見て「俺のイベリコ豚に何してんだ!!」は、衝撃的過ぎて爆笑。房野&赤羽両者も噴出してましたものね。
三須さんは房野さんと真逆のベクトルで気持ち悪かった。*6ていうか、似合う。あんなナチュラルにオネエ言葉はまるってなんなのさ。でもって中盤では三須さんといえばのお尻。どちらも詰めが甘いところがまた、ね。


本当にいい芝居でした。内容はファンタジーだしわかりやすいから、前作の「野菜ときゅうりとごめんなさい」みたいにああでもない、こうでもないって背景について語りあったりする感じではないんだけど、なんせ演者が素晴らしすぎました。各々の演技について「この人のここが良かった」「この人のこの表情が絶品だった」って語り合いたくなる芝居だったなーと。8月は「メガトン」に「キュウリ」にこの芝居と豊作でしたね。とても充実した神保町ライフになりました。

*1:千秋楽のみはしゃいだ末の9役

*2:褒めてます。

*3:褒めてます。

*4:が、『ラストの使いとの会話での「じゃあ、一生無理だね」には語尾に☆がつきそうな可愛い言い方で困ります』というのは、本文に書くのは憚られたので注釈で。

*5:追記:児玉さんに踏まれ、しんちゃんに乗っかられ痛がって身悶える房野さんは見ごたえ十分でした。児玉さんが内モモに乗っかった時はGJ!!って。って、別に追記するほどのことじゃないし、自分の嗜好だし・・・なんかすみません。

*6:褒めてます。