神保町花月『ストロベリージャム』

作・演出:安達健太郎カナリア
出演:
犬の心/LLR/ジャングルポケット
大塚友里衣

4つのお話。


□『パーティ』
ジャングルポケット斉藤さんの凄みを見た芝居。斉藤さんは終始、モニターを通しての芝居だったにも関わらず熱量がすごい。いじめられていた頃を髣髴とさせるおどおどした感じも、自分をさげずんだ人を監禁しコントロールできているという優越感も、人を人と思ってない残忍さも全てがモニターを通してもびしびし伝わってくる想いの強さが素晴らしかったです。本当気が触れている人だった。そして自分が助かる為ならと、レイプゲームにいち早く参加の意を見せた武山さんの表情が素晴らしく最低で、こんな演技するんだーって思ったり。逆にこんなこといけないと頭ではわかっていながらも、保身のために女性を追い詰める押見さんの表情もやはり卓越したものがありました。座席の関係で、この監禁自体を誰が行っているのかわかっていた福田さんの表情が全然見えなかったのが残念でしたね。どんな顔で、斉藤さんの非道な言動を聞いていたのだろう。そんな極限まで張り詰めた空気を打開する、ほのぼのな両親の池谷&太田ペア。最高の空気感でしょ。


□『大喜利のコーナー』
え?これどっち?ってなる感じがたまらなかったこのお芝居。これ本当にコーナー?それとも芝居なの?ってその感じがそのまま芝居のテーマなのが良いなぁ。安達さんがナレーションで演出をつける体なんだけど、そのトーンが絶妙で最初「??」ってなるんだよねと。最終的には押見さんが翻弄される形で落ち着いて芝居が進むんだけど、なんだろうこのリアル感(笑)そしてなんで押見さんが泣くとこんなに面白いんだろう。


□『ミュージックボックス』
カナリアの単独のネタが原案だとか。まさか涼風蘭ちゃんを福田さんが演じるとは!確かにこのメンバーだと一番当てはまるけど、なんせ実は福田さんゴツイ人なんでね。白いけど。ただ私は福田さんへのフィルターはぶっ壊れているので可愛かったです。登場前のとんでもない数の挨拶の声に、すでに恐怖を感じさせる蘭ちゃん。自分を出しすぎる蘭ちゃん。メッセージ性が強すぎる詩を書く蘭ちゃん。どれも恐怖。そしてラジオなのにスタジオに登場するダンサーたち。地味にダンサーと同じ振りを、蘭ちゃんもうつむき加減でちっちゃくやっているのが可愛らしい*1ラストは長渕テイスト満載でお送りする蘭ちゃんと、客席の悲鳴を集めた奴隷。安達ワールド。


□『ストロベリージャム』


芝居の内容の構成も、幕間のつなぎ方も『アーモンドチョコレート』と同じなんですが、演者上手いんでね。特に斉藤さんと押見さんにはやられました。あと、別意味で福田さん。
一番好きだったのは『パーティ』前回も一番残虐だった話が好きだったので、自分の趣味がどうかと思いますが。1本目終わった後、伊藤さんが「怖かったですねー(ニコニコ)」と言っているのを見てなんてデジャブ?って思いましたね。『ミュージックボックス』終わりで太田さんと伊藤さんが「この後、どっと疲れるんだよなぁ。」ってぼやいてるのが面白くて。確かにこんなに周りのザワザワを無視して、自分を出す人が来たら周囲は気疲れしかしなくてぐったりだろうなって。私はこういうブラックユーモアが大好きなんで、楽しく*2見たましがと、隣に座ってたお嬢さんが「えぐかったぁ」ってポツリとつぶやいててそっか・・・と。
オムニバスもいいけど、次安達さんが書くなら長編が見たいなぁと。がっつり見終えたら嫌悪感が残るようなものをお願いしたいです。

*1:大丈夫です、ぶっ壊れてるだけなんで。

*2:これもどうかと思うけど。