神保町花月『ラブ★ナビ』

脚本:鈴木 しげき
演出:成島 秀和(こゆび侍)
出演:犬の心/ザ・パンチ/ライス/ドイツ美知子
新井直子/大山貴華/大塚友里衣
あらすじ(公式HP)
今や誰でも持っている携帯電話。
男が失くしたケータイにかけてみると見知らぬ女の声が。
つながる相手とのやりとりはどこかムカつくし、それでも気になる。
やがて男は秘密の恋物語を知ることに…

すっかり記憶が忘却の彼方に行ってしまった感のあるラブ☆ナビの感想をほんのちょっとだけ。
あらすじ読んでもそんなに心惹かれることなく、人様のブログや掲示板の感想を読んでもあまり肯定的な意見のすくなかったこの公演。おかげで犬の心&ザ・パンチというキャストに過剰に期待することなくハードルを下げられたからでしょうか、普通に楽しめました。千秋楽だったのも良かったのかもしれないです。
押見さんは公演後のトークライブでもおっしゃってましたが、とにかく20歳の設定に若干の難があったのですね。でも物語に入り込むとそんな気になるほどでは無かったですけれどもね。自分のせいで勇気をなくしてしまった女性に、精一杯語りかけるところはとても気持ちが伝わっていいシーンだったなと。個人的に押見さんが一人で語りかけるというか独白というかそういうシーンが好きみたいです。
池谷さんはあのバブリーな時代がしっくりくる顔立ちですよね。昭和の男前。あんなにキラキラと光GENJI歌われたらもう。ハプニング的に芝居中池谷さんがすぐ側に座ることがあったのですが、まぶしすぎてそっちを見れないほどでした(笑)キラキラした芝居も、松尾さんの暴露にあたふたする様も、ツアーのアイデアがひらめいた!とできる男な芝居もどれもしっくりきてしまうのはやっぱり魅力的だなぁなんて。
これこそ待ってました!!なザ・パンチ。もう個人的に2人の演技が大好きなんで仁膨張のスケジュールが発表になるたびに「まだか、まだか」と思っていましたから。浜崎さんの過去の栄光にしがみついているカメラマンも哀愁漂ってて良かったです。ひと山越えて、イチから出直そうとする表情も良い。松尾さんも若干頼りない専務でしたけど、最後の「人事部に言っとくよ」のひと言がとても専務の人柄が感じられて良かったなと。贅沢を言うならば、パンチの2人はもっと重要なポストで芝居を見たいなぁと。特に浜崎さんの緩急付けた泣きの芝居は本当に感動するので是非!
ライスは関町さんがなんといってもずるすぎましたよ。なんですか、あの段差フェチな感じは!!舞台上できゃっきゃきゃっきゃと段差を滑っているのもツボでしたけれども、袖で声だけできゃっきゃ言っているのが爆笑で。あの無邪気さは幼稚園児でしょう。田所さんは滑舌難ありでクローズアップされてましたけれども(笑)マジ告白は最低のひと言で面白かったなぁ。
女優さんはモデル役の女の子が可愛かったなぁ。それに比べて押見さんの彼女役の女優さんは、見ているときから「なんかイラつく」(笑)それを劇中の最後の最後に関町さんが「イタイな」のひと言で片付けてくれるのですっきりしました。スパンと言い得てる。
ストーリーとしてもそんなに嫌いじゃなくて、だんだん携帯のこちらとあちらの世界にゆがみがあるって言うのがわかって。その流れで、心にひっかかってた事柄が全部伏線だったのがわかるのも良かったですし。悲観的な結末ではなく、ファンタジーらしく未来を変えてハッピーエンドになったし。こんな神保町もたまにはいいかなと思いました。