神保町花月「THE MOMOTARO」

脚本:堀江 B面
演出:高梨 由
出演:犬の心/あべこうじ/井上マー/チーモンチョーチュウ/こりゃめでてーな
キャベツ確認中/チョコレートプラネット/ゆう太だい介/阿山 真也/水野 以津美
あらずじ(HPより)
今明かされる「桃太郎」の真実!!
誰もが知るあの桃太郎の、誰も知らないストーリ−・・・。
愛と勇気と憎悪が入り混じる
新感覚おとぎ話『THE MOMO−TARO』がここに!

公演中のためネタバレ注意。
もうなんていっていいのか分からないくらい、凄かった。お話も、役者も、殺陣も、音も、照明もすべてが最高だった。現在と過去を上手に見せ、だんだんと分かってくる桃太郎が変わってしまった真相。2時間弱が本当にあっという間で。こんなに感動できる舞台を見せてくれた芸人さんに心から感謝です。涙腺はバカになってました。こんな良い舞台を見せてもらえるとは。
池谷さんの凄さを初めて体感できました。velvetでの池谷さんを見ることができず、「ガッツ」ではここまでの凄みは感じられなかった。でも今回は余すところ無く役者としての全てを魅せてもらいました。「人を絶対信じない」という鬼のような意思の塊の表情。お美代の言葉に揺れる感情。そして全てを知ったときの悲しみ。全てが最高でした。かなり前のほうで見たこともあって、目の力が尋常じゃなかった。特に悲しみが怒りに変わった瞬間は、息が止まるほど。そして何より殺陣が素敵過ぎる。
押見さんは本当に丁寧な役者なんだなと。桃太郎を最後まで信じ続け、あの頃の「桃太郎」に戻って欲しいと尽力を注ぐ、本当に忠犬。怒りを我慢する表情、感情がとても素晴らしかった。そしてなによりも殺陣が格好良かった。飛んできたときは、鳥肌立つほど。そして身のこなしがさまになっている。桃太郎と犬の殺陣は、周りでも他の殺陣が見れるのに目が離せないほど。
あべさんはいつもの芸風からは想像し難い、酷い男李太郎。桃太郎に取り入ろうとする、度を越えた無邪気さが隠し切れない冷酷さをより浮き彫りにしていて見ているこちらに自然と憎しみを抱かせるくらい。でも本当は仲間が欲しくて、寂しくてという感情も見え隠れさせるのが上手すぎる。最期の「きびだんご、食べたかった」の一言でぼろぼろと泣いてしまいました。一番憎むべきキャラクターなのに、最終的に哀しみをこちらに感じさせる。凄すぎて怖いくらいです。あべさんの演技に関しては、velvetを見れていないので、噂だけだったんだけどこれは本当に凄い。
マーさんはせっかくだからもっと主要キャラで、本意気を見たかった。でもあのキャラクターを可愛らしく演じてらしてました。
チーモンの二人というか、菊池さんは全てにおいて器用な方なので演技も殺陣も上手いんだろうなと。菊地さん自信のキャラクターと今回の役柄がぴったりで、そして如意棒での殺陣が素晴らしすぎて言うことなしです。また、「にかっ」っとする笑顔が似合うんだ。でも菊池さんよりも白井さんですよ。白井さんのキャラを上手く組み込んだ役柄で。メイクもめちゃくちゃ可愛かったです。桃太郎を呼ぶとき、一番仲が良かったんだろうなぁとうかがわせる感じも物語自体にひと味加える感じで。
こりゃめでてーなのお二人は、可愛らしい鬼で。器用なんだろうなぁ、二人とも。もう、大江さんが普通に可愛く見えてくるくらい。
フォービーズのお二人はさすが役者さん。特にお美代ちゃん役の水野さんの、復讐の鬼に化した後が好きです。可愛らしかったお美代が、怒りと悲しみでこんなになるのか!と。そして桃太郎と最期に分かり合えたとき、抱き寄せる桃太郎がこれまでに無く素敵なんですよ。かなりここの池谷さんにはときめきます。
キャベツ、ゆう太だい介、チョコレートプラネットの3組も大健闘。特にチョコレートプラネットの長田さんは3組の中では頭数個飛び出るくらいの存在感と、巧さでした。完全に目を持っていかれる。特に殺陣さばきがダントツに巧い。実はわちゃわちゃしている殺陣の時は、彼を目で追ってしまったくらい。それくらい力強い殺陣が似合う似合う。


結構書いてしまいました。あまりの評判に、見に行く前に1公演チケット追加しておいたのですが、大正解。というか確保してなかったら、後悔にさいなまれるところでした。それくらい素晴らしい舞台になってます。まだ公演中だけれども、是非ともこれは再演していただきたい芝居です。